神宮前、明治通りで異彩を放つマンション「ビラ・ビアンカ」です。元祖デザイナーズマンションとでも言いましょうか、その歴史は古く竣工したのはなんと前回の東京オリンピックの年(1964年)だそうです。

50年以上経っているのにも関わらず、未だ古びて見えないのはえらいことだと思います。
設計した堀田英二氏の才気のなせる技でしょう。

積み木のように積み重ねられたような意匠は、幾何学的でもありますが、どこまでも拡張していくような有機性を孕んでいます。

積み木と書きましたが、言い換えるとモジュール的ということだと思います。モジュールとは一定の機能を有するシンプルなパーツのことです。そのパーツを組み合わせることで全体として複雑な仕組みを構築していきます。デザインの世界よりも、プログラム開発の世界でよく用いられるワードだと思います。

幾何学的でありながら、有機的という相反する二つのベクトルの共存は、こうしたモジュール的なデザインからなのだと思います。また時代を経ても魅力が色あせないのは、モジュールのベースが強いからでしょう。

ただ半世紀以上も風化しなかったデザインであったとしても、建築物には寿命はあります。今日通りかかってまじまじと見た印象ですと、かなり老朽化が進んでいるようです。今年取り壊されてしまっても不思議ではないような佇まいでもあります……。

どうせだったら東京オリンピック2020まで現役でいて欲しいなぁ、それこそレガシーだなぁと思ったりしました。