渋谷駅の喧噪を少し離れた鉢山町にある「鉢山」さんは好きな焼肉屋さんのひとつです。

東京に数多ある焼肉屋さんの中からあえて選ばれるというのは非常に難しいものです。一昔前であれば希少部位を出しているだけで希少な焼肉屋としてちやほやされることもありました。でも今では正直、希少な部位の肉を出すというだけの焼肉屋は文字通り腐るほどあります。そして、どこで食べてもそれなりに美味しいです。

そんな焼肉戦国時代の今の時代を乗りきるためには、他の店には真似できない特徴がないといけません。

この鉢山さんの特徴はなんといっても、ナムル!
もちろん肉質やサービスは当たり前にハイレベルです。でも他の店にないものというとナムル!冒頭の写真にもある色とりどりのナムル!オモニのナムル!

これが思わず連呼したくなるほどに美味しいのです。モヤシやホウレン草はもちろんのこと、キャベツ、レンコン、ブロッコリ、ニンジン、とうもろこし、ワカメにメンマ、そして極めつけはアボガドのナムルです。
これほどまでに自由なナムルをぼくは知りません。

そして、このナムルは注文しなくてもデフォルトでつくいわばお通しなのです。それは名刺代わりの先制パンチと言っていいかもしれません。

この先制パンチにびびった相手はなし崩しにペースをお店側に握られます。キムチを食べても、チジミを食べても、スープ飲んでも、もちろん肉を食べても、そのすべてが強烈な一撃に感じられ、終いにはノックアウトされてしまうのです。

――ナムルを制するものは、世界を制する。

とだれかが言ったとか、言わないとか。