先日、日本酒のラベルは日本酒的であるべきで、ワインの出来そこないのようなラベルには興醒めですよという趣旨の話をした手前あれなんですが、日本酒はやっぱり味なわけです。味が良ければすべて良しと訂正させていただきたい。

東京五輪を控え、日本文化をどんどん世界にアピールする機会も増えていくと思います。日本酒だってどんどん世界に打って出ていかなくてはなりません。そんな時にちょっとよそ行きの恰好したっていいじゃないですか?いつまで経っても、ちょんまげに袴姿でもいられないじゃないですか?あなただって普通に洋服着てるでしょ?ブリーフだかトランクスだかボクサーパンツだか知りませんが、フンドシじゃないですよね?
だったらいいじゃないですか、ちょっとぐらい洋風ラベルの日本酒があったって。
え?だれも悪いなんて最初から言ってない?言い出したのはお前だろって?
だれが良いとか悪いとかいう問題でもないんですよ。小さいことを言わないでいただきたい。こっちはグローバルな話をしてるんですから。

ということで、「醸し人九平次 純米大吟醸 human(ヒューマン)」です。

ネーミングがまずデカい。「ヒューマン」と来ました。日本とか西洋とかを飛び越えて、国境も人種も関係ない、“だって人間だもの”な世界観です。
この酒は確かに、日本酒とかワインとかのジャンルの垣根を超える存在感があります。
まぎれもなく日本酒ではありますが、果実を想わせるフルーティな飲み口と酸味の立った味わいが白ワインのニュアンスも感じさせます。
そういえば昔、イタリア人と話したときに「SAKEって、RICE WINEだろ?」って言ってたのを思い出しました。西洋人からしたら日本酒は米のワインな訳ですね。

そう考えると、日本酒だワインだと勝手に境界をつくる必要は全くありませんし、ラベルが和風だ洋風だとか些末な問題です。シンプルに旨い酒は旨いということで良いのではないでしょうか。ついでに言うと酒だけの話ではなく、良く醸された「人」も旨い。そう思えるきっかけを与えてくれた九平次さんに感謝です。