ザ・銀座の鮨とでも申しましょうか、古き良き銀座の老舗「ほかけ」に伺いました。
冒頭の看板からも貫禄がにじみ出ています。迫力満点です。
そして店内に入ると親方も迫力満点。御年80オーバーです。鮨を握って60余年だそうです。

長年腕を磨かれた職人技に触れるとき、ピカソの話を思い出します。

ある日ピカソがレストランで食事をしていると、ファンの女性が現れて紙ナプキンに何かを描いてくれるようにお願いします。ピカソはサササと30秒くらいで描き、その女性に1万ドルを請求します
「え?30秒しかかかってないのに?」と女性が言います。ピカソはこう返します。
「40年と30秒もかかっているんだよ」

今晩のコハダの握り、最高でした。この味に60年の歳月が刻みこまれていると考えると感慨もひとしおです。歴史の証人にでもなった気分です。

値段はもちろん銀座価格ではあります。でも60年というピカソ式の人件費を考えると激安とも言えます。銀座でも若手で勢いのある鮨職人が続々と登場していますが、彼らの握る鮨よりもずっとコスパが良いようにも思えてきました。

ふと我に返ります。
俺、まだ社会人になって20年じゃん。
あと40年同じように働けるのかなぁ?その果てしなさに思わず遠い目になってしまいました。