近所のお好み屋は、有名人のサインがところ狭しと壁面いっぱいに並ぶあれである。
その日も、壁のいろいろなサインを眺めていると、店長が近寄ってきて、壁にはられたサイン色紙を端からそれぞれ解説してくれた。
「これは、〇〇さん、あれはXXさん。そっちは●●さん・・・」
という調子である。
こんなたくさんの有名人が訪れるお店ってすごいなぁ。
そして、つづけて店長
「この店で一番のお値打ちのサインはなんといってもこれよ!」
と紹介してくれたのが、他のサインとは明らかに差別され、丁重に額装された代物。
それはタイガーウッズをはじめとしたプロゴルファーたち10人くらいが一同にサインを寄せ書きしたフラッグのようなものである。
これだけのメンバーが集まることはまずありえないことらしく、かの石川寮も端っこの方にサインせざるを得ないほどの豪華メンバーとのことである。
ぼくは、そのトッププロたちが打ち上げでこの狭い店内にあつまり、クラブからヘラに持ち替え、お好み焼きを華麗に返しあっている様を想像した。
「まじですごいっすね!ちなみにタイガーウッズはどこに座ったんですか??」
と感嘆まじりに店長に問いかけた。
すると店長
「くるわけないじゃん。これはゴルフダイジェストの読者プレゼントに当選したんだよ。すごいでしょ!」
すごくない。と思った。