ここ中野坂上の与志乃は、江戸前鮨屋の源流ともいうべき京橋 与志乃ののれん分けだそうです。

店内は薄暗い照明に白木の長いカウンターが印象的で、かなり高級感漂う内装です。なにしろ中野坂上なんで、街の鮨屋でちょっとつまもうと思ってのれんくぐったら、面喰うお客さんも多いんじゃないですかね。

親方と息子さん(たぶん)の二代がつけ場に立って握ってくれます。
親方は、一見気難しい親父と見せかけて、実は人懐っこいひょうきんものとみました(たぶん)。

ウェット系のシャリが特徴的で、本家の与志乃とはまったくの別物と言ってもいいかもしれません。でも、随所に与志乃らしい技の片鱗は見え隠れしますね。あなごとか煮だことか秀逸だと思います。

中野坂上という土地柄、値段は相当抑え目なわけですから、ネタの良し悪しについて論ずるのは野暮でしょう。でも日本酒が樽酒だけっていうのが、ぼく的には惜しいかな。せめて、本家与志乃みたいに賀茂鶴ゴールドだけでもあったら、うれしいのだけど……。鮨屋は飲み屋じゃねえやとか怒られそうですが。

中野坂上の鮨屋と言えば、銀座のさわだが、その昔中野坂上にあったそうですね。中野坂上って意外と鮨屋を呼ぶ何かがあるのでしょうか?