仲條正義 IN & OUT, あるいは飲&嘔吐@ギンザ・グラフィック・ギャラリー

グラフィックデザイン界の大巨匠仲條正義氏のポスター展をのぞいてきました。
「MOTHERS & OTHERS」をテーマに、スイスサイズと言われる少し大きめのサイズの新作ポスターが22点は壮観です。
ていうか新作かよ……。だって御年83歳ですよ。アンビリーバブルですね。

色とイラストとタイポのバランスで構成しているだけなのに、どうしてここまで鮮烈な印象が生まれるのでしょうか?
鮮烈と書きましたが、まさにフレッシュな感覚を覚えます。83歳の人間が作ったものとは到底思えない新しさがそこにはあります。

氏の過去作品は、別のフロアで展示されています。それらがすべてにおいて今もなお新しく見えるか?というとそんなことはありません。作品から発せられる時代の空気みたいなものが、今見るとちょっと古臭ささを感じさせることもあります。

新しいものは、時代ととも風化しますし、永久不滅のグラフィックデザインなんてものはないのかもしれません。

では、この新作ポスター22点の醸し出す新しさの正体は何なのか?
今という時代の空気感を敏感に読み取る力と、そこに少しだけ、例えば半歩先をいく先見性みたいなものを持っているのだと思います。

それが、センスというやつなのだと思います。

ちなみに、冒頭の本展のポスターは葛西薫さんによる作品だそうです。葛西さんだってもう70歳近いんじゃないですかね。
センスのいい人というのは、一生センスがいいのだろうなと、うらやましいかぎりです。