焼肉

今日生まれてはじめて、焼肉をハシゴした。
ここまで生きてきて焼肉屋をハシゴするという発想がまったくなかった。
なぜか?
「1次会ですでにおなか一杯になるから」というありきたりな答えではないとぼくは思っている。

焼肉には特別な感情を抱かずにはいられない。亡き父との食事の場面を思い返すとき一番に思い浮かぶのが焼肉だ。幼少のころ、焼肉に行くことはそれこそ一大イベントであった。家族で数か月に一度するちょっとしたぜいたく。それが焼肉だった。 それは、たまにあるおいしい食事というだけでなく、ある種の儀式として意味性をはらんでいる。家族の絆の象徴みたいな重みが焼肉にはあるのでないかという気がしている。

そう重いのである。

年を取ると、脂が重いっていうのも事実だが、その意味性においても焼肉は重いのだ。