カンボジア人陶芸家のイムサエム氏の抹茶椀です。

箱書きが、クメール語?でしょうか。何が書いてあるのかさっぱりわかりません。でも逆にいい味出してます。

イムサエム氏は、日本在住で愛知県に窯をかまえています。このやや黄みがかった地の色と青の絵付けが特徴的です。独特の雰囲気というか存在感があって一度見ると忘れないインパクトがあります。カンボジア風なのかと思いきや、実はそうでもないらしく、イムサエムオンリーワンと言っていいかもしれません。

千利休の時代から安南焼として知られるベトナム産の陶器は茶の湯の道具として見立てられていました。中でも青色の染付でトンボの絵柄が人気だったようです。

この茶碗にもトンボ(たぶん)が二匹飛んでいます。東南アジア出身の現代作家が造るこうしたうつわは、実に茶の湯的であるとも思うのです。

この茶碗の底の茶だまりの部分には緑色がかった透明なガラス質の釉薬がたまってバキバキに貫入が入っています。お茶を飲み終え吸いきった時に、至近距離で現れるここがまさに見どころです。

そしてぼくがこのお茶碗を衝動買いしてしまったのにはさらに理由があります。

先日行った「近代工芸と茶の湯II  展 」で、ルーシー・リーのうつわを茶器に見立てていたのにもろに影響を受けちゃったんですよね。

お茶の世界は、今も昔もノーボーダーです。