世界遺産マチュピチュ。ペルーの山岳地帯にある空中都市とも言える遺跡です。15世紀のインカ帝国の遺跡で、アンデス山麓に属するペルーのウルバンバ谷に沿った山(標高2,430m)の頂上にあります。インカ帝国は文字を持たない文明であり、何のために作られたものなのかは未だ解明されていません。ミステリアスな遺跡の代名詞のような存在です。

ぼくは15~6年くらい前に彼の地を訪れたことがあります。山の麓からは険しい山にしか見えません。頂上にまさか都市の遺跡があるとは露も感じさせません。この遺跡が世界中の旅行者を虜にし、ミステリアスたらしめている最大の理由は、この「アプローチからの予想を超えるサプライズ」だと思うのです。

この感覚を久々に思い出したが、渋谷の東急百貨店東横店の屋上にあるフットサルコートです。渋谷駅に真上にまさかのフットサルコートがあるなんて知る由もありませんでした。渋谷駅の1日の利用者数は30万~40万人と言われています。その中で頭上にフットサルコートがあるなんて気づいてる人は稀有ではないでしょうか?

東急百貨店のエレベーターに乗り込みます。衣料品売り場やレストラン街で大体の人は降りていきます。エレベーターに乗っている人すら屋上に何があるかなど気にも留めていないのではないでしょうか?屋上に到着し受付の横を通り過ぎると人工芝のグリーンが眩しいフットサルコートが目に飛び込みます。その奥には渋谷のビル群の上層部や騒がしく広告を写し出すオーロラビジョンも見えています。特に高くそびえるマークシティは、マチュピチュから臨むワイナピチュ(絵葉書で同じみのアングルで写っているマチュピチュの横にそびえる高い山)のようでもあります。

――えーっ!!ここにこんなものがあったんだ!!

その感覚は、まさにマチュピチュを訪れたときの感動と同じ類のものでありました。マチュピチュが世界遺産ならば、ここは渋谷遺産だぜよ!と思わずにはいられません。

渋谷の再開発でどんどこ工事してますが、この渋谷遺産も解体されちゃうのでしょうか?