デパ地下で買ってきた下鴨茶寮の秋の行楽弁当です。
別に行楽に行くわけでないですが、なんだか行楽気分になりますね。

――行楽弁当は、何故に人を行楽気分にさせるのか?

それは、和食の季節感にあるように思います。我々日本人は、旬な食材を愛でることで、季節のありがたさや特別感を感じることができるのです。人は特別感にウキウキします。このお弁当もそうです。きのこの炊き込みごはんだったり、もみじの形のにんじんだったり、包み紙の色であったり……ん?……あれ?……あれれ?よくよく見たらそれだけ!?

和食や和のもてなしにおける季節感の素晴らしさをこの行楽弁当を通じて論じようと思ったのですが、改めて観察しましたらそうでもなかったですね(汗)。

でも、逆にいうとこのお弁当は実に効率的なコミュニケーションをしているとも言えます。だし巻だ湯葉山椒だ鴨スモークだと定番ものを最大限に活かしつつ、ほんの少しの季節のものとちょっとした工夫で圧倒的な季節感を醸し出しているのです。

効率的なのは、客に向けての外向きのコミュニケーションだけではありません。弁当作りのオペレーション的にも、経営的にも実に効率的と言えそうです。

ふんだんに旬な食材を使うことももちろん素晴らしいですが、こうして最小限の力で最大限の効果を狙う感じもやっぱり和の心意気な気もします。枯山水なんかにも通じる、日本人のお家芸ではないかと思ったりしちゃうのです。