溜池山王からも赤坂からも赤坂見附からも歩いて行けるくらいの絶妙な場所に位置するお鮨屋さん「寿々」。立地もさる事ながら、鮨屋としてのポジショニングがまた絶妙なのです。

大将は九兵衛で修行された方だそうです。凛とした佇まいで、お店もさすがにピシっとしています。
かといって、ピリピリした空間で食うか食われるのかの真剣勝負みたいな雰囲気でもなく、肩ひじ張らずにお昼休みに美味しいお鮨を食べたいなぁという気分の時には、ここ寿々さんが間違いなくファーストチョイスのお店となります。

一流店のお鮨屋さんに並ぶと、コストパフォーマンスが断トツに優れたお店。
気軽にランチできるお鮨屋さんに並ぶと、クオリティが断トツに優れたお店。

という絶妙なポジショニングにこの寿々さんはあるのです。
この場所で、このレベルの鮨が、この価格で食べれると言うのは、特筆すべきバリューなのです。

ランチだけではなく、もちろん夜でもそのバランス感覚は発揮されます。「鮨屋は居酒屋じゃねぇぞ」というスタンスの老舗有名店は多々あると思います。酒のラインナップが少なかったり、鮨のレベルに比べてかなり落ちる酒しか置いてなかったりと。が、ここ寿々ではハイレベルな地酒も豊富に取り揃えています。十四代、九平次、新政といった銘酒をお鮨屋さんの旨い肴と一緒に楽しめるっていうのは、他の店にはない特徴で、やっぱりここでもポジショニングの取り方が絶妙だなぁと思うわけです。

なるべく競争優位なところにポジションをとるこういうバランス感覚って大切よねと思わずにはいられません。
そして、それはお鮨屋さんに限った話だけでなく、あらゆるビジネス、もっというと人の生き方みたいなものにも通じるものがあるのでないかとすら思うのです。

鮨と一緒に、人生の味も噛みしめる。そんな昼下がりなのでありました。ごちそうさまでした。