食欲のない夏は、さっぱりとしたものが食べたくなります。
新宿西口にあるお蕎麦屋さん「渡邉」にて。メニュー表で「すだちそば」の写真を見たときにこれだと思いました。
冷水でしまったそばにきりりと酸味のきいたつゆがからんだ味を想像して、口の中によだれがあふれました。
ところがこれ、温かいのです。テーブルに出されたときに気づきました。湯気がもうもうです。いや、温かいから悪いとか、まずいとか言ってるわけではないのですよ。
ただ少しだけ、少しだけですよ、がっかりしました。
食べると美味しいんですよ。これが。温かいつゆにすだちの酸味が効いててとてもクセになる味です。思い出しながらこうして書いている今、すでにもうその味が恋しくなっています。本当に美味しいんです。
でも、なんだろう?最初にテーブルにだされた時のあの気持ち。
はっと、膝をたたく。これは生パスタの法則じゃないか!?
先日書きました。乾麺のスパゲッティ食べようと思ってたのに、生パスタをだされると、それがいかに上等なものであったとしてもがっかりするというあれですね。
「すだちそばの法則」
地中海から遠い極東の島国にも同じ法則がありました。
こういうことを普遍の真理というのだろうと妙に納得しました。
場所や時代、表層的な姿形は変えども、決してゆるがない真の部分。人類が過去、現在、未来永劫へと続く限りは、好むと好まざるとに関わらずそこに必ずあるであろう真理。
そんな真理をわたしは確かにそのすだちそばの中に感じていたのです。
それを語り継ぐこと。なんらかの形で受け継ぐこと。それを人類の叡智というのではないか。
ということを真摯に受け止めながら、次はいつ、すだちそばを食べに行こうかな?と思い悩むのでありました。