新宿の焼肉屋さん「大貫」さんでいただいた椎茸です。

大きく分厚いぶりぶりの椎茸を店員さんが丁寧に焼いてくれます。
焼くのは片面だけです。
しばらくすると、椎茸の傘の中から水分が出てきます。ここでひっくり返したくなるのが人情ってやつですが、ひっくり返しません。水分がどんどん浮かび上がってきますが、がまんがまんでこのままじっくり焼き続けます。

結局一度もひっくり返すことなく焼きあげられた椎茸は、丁寧に傘の中にたっぷりと溜まった椎茸のエキスがこぼれ落ちないように取り分けられます。

食べるときもこぼれないようにがぶりと一口でいきます。
椎茸の旨みが凝縮されたそのエキスは、椎茸の血と汗と涙のようなもので、椎茸の命そのものをいただいているという罪悪感すら感じるほどに官能的な美味しさです。

椎茸ってこんな焼き方があったんだと目からウロコでありました。どうして今まで知らなかったのか不思議でなりません。多くの人がこの焼き方を知らないとなるとこれは大発明ですよ!
と大興奮するのでありました。

焼肉屋さんなのに、椎茸の話ばかりなのもあれなのですが、あえて語らずとも椎茸ひとつとってもこのこだわりなのだから、肉に対しても手加減があるわけないじゃないですかということは、勘のいい方ならもうお気づきだろうとは思います。

厚切りのタン塩を焼き上げた後に火からあげて寝かせたり、部位ごとのカットと焼き加減に関してももちろんぬかりはありません。胡麻風味の秘伝のたれ、米や野菜の目利き、〆のスープのうまさといいコースの最初から最後まで全力投球です。

とても気合の入ったお店でありました。