昨日書きました杉本博司が創ったカフェの庭の話で思い出したのが、青山一丁目の草月会館のエントランスにあるイサム・ノグチの作品「華と石と水の庭<天国>」とそこに隣接する「コーネルコーヒー」です。

ただ、こちらのカフェは後から最近作られたものですので、庭と店舗とあわせて設計された「茶酒金田中」とはコンセプトがまるっきり違います。

とはいえ、カフェの方のデザインはnendoさんなので、こちらもさすがにかっこいいです。
カフェからの庭の眺望もいけてます。

では、庭を眺めるのにどこが特等席か?というと、ここはやっぱり後から作られたカフェの店内ではないのですね。なんといっても一階からカフェのある二階へと続く階段にある踊り場でしょう。ちょうど柱と柱の間から覗くと、眼下に広がる石庭と正面奥に光輝く窓が一望でき、まさにそこには天国があるかのような衝撃をうけます。

そして、降りて実際にこの作品の中を歩くこともおすすめします。実際に作品の中のいろいろな位置に立ってみると、また違った表情の景色が見て取れるわけですが、それぞれがそれぞれに調和のとれた美しさ宿しています。
あらゆる角度からの視線を計算してオブジェクトを配置しているのでしょうが、なにしろ配置するのは石なわけですからそれは大変な作業だったに違いありません。

この草月ビルは、その名の通りいけばな草月流のビルです。初代家元・勅使河原蒼風が丹下健三に依頼して建てたそうです。

イサムノグチ、勅使河原蒼風、丹下健三、稀代の芸術家たちの美意識が詰まったこの空間を、気軽にカフェと一緒に楽しめるというのは、なんともありがたやなお話しではないでしょうか。この世の<天国>からあの世の天国に感謝せずにはいられません。