神保町の老舗「鶴八」初見参です。

今時のある程度のレベルのお鮨屋さんでは、おまかせコースが主流だと思いますが、こちらはお好みオンリーです。
またネタに煮切りを塗ってくれるのも今時の主流だと思いますが、こちらは醤油を自分でつけるスタイルです。
地酒なんかをいろいろ置いてますっていうのも今時の主流だと思いますが、こちらは常温の酒が一種類。
なんというか、はやりすたりを気にせずに我が道を行く質実剛健な印象がなんとも言えず良いです。

それにしてもお好みの注文で美味しいお鮨食べるのは久しぶりでした。好きなものを好きなだけ食べれるっていうのはこのお店の醍醐味ですね。
何しろ相席した他のお客さんは、アナゴを4貫も食べてましたよ。このレベルの鮨をこんな食べ方ができるのはこの店だけですよ。

今日の一発目につまみで切ってもらったホシガレイが圧巻でした。肉厚の身に、縁側もブリッブリで噛むほどにうまさがほとばしる。これヒラメよりうまいんじゃないか?ってくらいの代物でした。

カレイって、ヒラメの代用品みたいなイメージじゃないですか。ヒラメの旬の冬がくるまでのつなぎの魚という認識じゃないですか。そんなカレイがヒラメを凌駕するくらいの圧倒的な存在感を放っているのです。

文字通りカレイの星、ホシガレイ。カッケーです。

そうだ、あいつみたいです。
サッカー日本代表に例えると、ユース時代からエリート街道まっしぐらな宇佐美や柴崎をヒラメとするならば、ユース時代は注目をあびることなく雑草のように過ごすも、その実力が認められるや一気に同期のエリートたちを抜き去ってドイツへと旅立った我らが東京の星、ミスター質実剛健、武藤嘉紀はまさにホシガレイと言えるのでないでしょうか。

そんな武藤嘉紀のようなホシガレイに、ここ鶴八で出会えたことがまたなんとも言えず良い、と一期一会を噛みしめる神保町の夜なのでありました。