奈良県の美吉野酒造の「花巴 水もと純米 直汲みにごり生原酒」です。

酵母無添加という昔ながらの酒造りを実践しています。普通の酒造りでは、目指す酒質にあわせて酵母を添加します。フルーティで華やかな酒を目指すにはなんちゃら酵母、しっかりとコクのある酒にはなんちゃら酵母みたいな感じですね。この花巴では、その酵母を添加せずに、蔵に自然に住み着く天然酵母から酒を醸していきます。

酵母を添加した方が、はずれは少ないし、酒のできるスピードも各段に早いと言います。それでも、天然酵母のこだわるのは、通り一遍の味ではなく、蔵独自の味を追求したいという酒造の熱意以外の何物でもないでしょう。昔ながらの本物の造り方で、本物の酒を醸したい、その覚悟がひしひしと伝わってきます。

そんな想いと自然の力で醸す酒は、さぞ骨太で力強いのだろうと身構えていました。ラベルも漢字どーんで質実剛健な感じですし、心してかからないとガツンとやられるぞと。
ところが、いざ飲んでみると、あれれ、なんか優しい感じ。ヨーグルトっぽい甘酸っぱい感じといいましょうか、不思議なフレッシュ感があります。

こうきましたか、強面なのに、実は優しい的な。緊張と緩和ってやつです。
そのやさしさが一層やさしく感じられ、ぐっときました。