写真家スティーヴン・ショアの写真についての考えが記された教科書的な入門書「写真の本質」を久々に読み返しています。
ショア本人の作品をはじめ、ロバート・フランクやエグルストン、トーマス・デマンドからグルスキーまで様々な写真家の作品を取り上げながら写真論を展開する本書は、写真好きにとっては一家に一冊は必ず置いておきたいバイブルと言っても良いでしょう。

――「写真の本質」とはなんぞや?

そのヒントがここにあります。スティーヴン・ショアは、写真の特性を三つのレベルに分類しています。一つは、物理レベル。印画紙のことです。この印画紙に画像が写ることで仮想世界が成立します。次に描写レベル。訪れた土地、恋人の顔、夜景など、ぼくたちが普通、写真を読み取り、理解するのはこのレベルです。このレベルの世界は二次元であり、フレームとして切り取られていて、時間と焦点によって構成されています。そしてメンタルレベル。心の知覚装置に信号が送られてきて、そのイメージが何を表すのか?を「写真に転化」するとしています。

つまり写真とは、最終的には心で現像するものであるということだと思います。

そして、スティーヴン・ショアは、こう言っています。写真家にとって、写真は自分の世界を表現し、どのように事物を認識して、自分の意図を表現するのかという手段である、と。
これは、小説家でも画家でも芸術家と呼ばれる人々はやっぱり同じことを言っていますよね。芸術とは、自分の世界の見方を人に伝えるための入れ物として、機能しているということなのだと思います。

とここまで、書いてなんだろうこの既読感は?はっ!として、トーマス・ルフ展のレビュー読んだら同じこと書いてました。はずかしい……。けど、自分的にはたぶん声を大にして言いたかったということなんだと思います。