すっかり秋になったなあと感慨深げになる暇もなく、もう12月になろうとしています。年々飛ぶように季節がすぎさっていきます。

でも辛うじて、和菓子を食べるときだけは季節感を感じることはできますね。写真は、たねやの「栗こみち」という商品です。風味豊かな栗餡をなめならかな小豆のこしあんで包んで茶巾でしぼって形づくっています。

まずこの茶巾の見た目のかわいらしさよ。秋を愛でる気持ちを一層増幅してくれます。そして、包み紙を開けた瞬間のサプライズ。栗きんとんみたいなものが出てくるのかな?と思わせておいての小豆餡の色がドーンと目に飛び込みます。これ栗の殻だと気づきます。そしてその小豆餡に包まれた中心部分に濃厚な栗餡が鎮座しているのです。

一口食べると、ザ・栗!な秋の風味と小豆のやさしい風味がまざりあって、「栗こみち」の商品名さながらに栗の殻を拾って歩く、古き良き日本の原風景が脳裏に蘇ります。

そんな栗拾いの経験をぼくがしたわけでないのに、そんな気分になってしまうのは不思議なものです。

自然を愛でたり、自然の恵みを享受することを、われわれ日本人のDNAにはすでに刻み込まれちゃってるではないか?とすら思ってしまう今日この頃です。