南青山のフレンチ「ランベリー ナオト キシモト」でランチです。
冒頭の写真は、アミューズの佐島タコにイカスミの衣をつけてフリットしたものです。ユズの香りがする泡のソースが添えられます。海の香りが口いっぱいに広がる逸品です。それにしてもこのルックスですよ。タコツボから今にもタコが出てきそうな佇まいです。海賊映画とかで巨大なタコが船を襲うシーンなんかを思い出してワクワクしてきました。
和食で言うところの突出しのアミューズって、意味的にはアミューズメントパークのアミューズなんですよね。これはまさに我が意を得たりのアミューズなわけです。

随所で季節感を感じさせてくれるのもうれしいです。素材の目利きが素晴らしいからでしょう。その時一番美味しい素材を料理しようと思うと自然と季節感が出てくるということなのだと思います。秋刀魚に栗に南瓜に甘鯛に梨と、気分はすっかり秋模様です。

甘鯛は破壊力抜群に美味しかったです。京都舞鶴産で釣りの小ぶりのものなのですが、若狭焼よろしくウロコをパリパッリに香ばしく焼き上げて中はしっとり。赤座エビのラビオリと一緒にスパイシーなブイヨンのお風呂につかっています。
口に入れるとそれぞれの素材と素材が互いに主張し合いながらも美しいハーモニーを奏でます。先に述べたお風呂という表現がまさにぴったりで、日本とフランスとアジアの人々みんなが一緒の海の見える露天風呂につかっているかのような極楽がそこにあるのです。こんな極楽浄土にはきっと争いごとや殺し合いなんてものはなく、皆が調和した甘美な時だけが流れているんだろうよと遠い目になりました。

それにしても、アミューズから茶菓子までまったく手抜きがありません。
最初から最後までシェフの世界観全開で本当に楽しい食事になりました。