ボブ・ディランがまさかのノーベル文学賞を獲りました。

今から20年くらい前(1990年代半ば)のぼくが学生の頃は、オアシスやブラーのブリットポップ全盛時代でした。ブリットポップバンドの音楽の根底にあるものが60年代ロックであり、彼らを入口にぼくも60年代ロックにはまることになりました。
そこには、ビートルズがいて、ストーンズがいて、ボブ・ディランがいました。30年も前の人たちなのに、なんてカッケーんだよ!と夢中になりました。

ボブ・ディランのことを最初は反戦ソングを歌う人というイメージで、特に政治色の強い人なんだろうなと思っていました。
ただボブ・ディランを深く聴いていくと、それは単なる一面にすぎないということに気づきます。実に多様な楽曲を作っていてたくさんのメッセージがそこにはありました。一つの曲に対してもその解釈がいろいろできてしまうというのもボブ・ディランの使う言葉の深さ故でしょう。反戦ソングだと思っていたものが、ある日恋愛ソングに聞こえてきたりもします。

ボブ・ディランの曲で一番好きな曲は何か?

という質問があったなら、ぼくは「ミスター・タンブリンマン – Mr. Tambourine Man」と答えます。
ぼくの青春ソングです。もっぱら聴いてたのは、バーズのカバーなんですけどね。

大学生って時間だけは無駄にあるので、アイデンティティを模索するじゃないですか。でも結局そんなもの見つからなくて、焦燥感に不安感に苛まれ、訳わかんなくなって行き着いた先にこの曲がありました。

Hey! Mr. Tambourine Man, play a song for me,
I’m not sleepy and there is no place I’m going to.
Hey! Mr. Tambourine Man, play a song for me,
In the jingle jangle morning I’ll come followin’ you.

タンバリン叩きの人に、「歌っておくれよ、眠くないし、どこにも行くとこないからさ、あんたについてくよ」みたいな歌なんですが、当時のぼくの頭の中にはこの歌がループ再生されていました。
月並みな言葉ではあるのですが、救いみたいなものがこの曲にはあったんですよね。