ダリ展@新国立美術館

いやぁ混んでましたね。みんなダリが大好きなんですね。ぼくも大好きです。

10年くらい前でしょうか、バルセロナ郊外にあるフィゲラスという田舎町にあるダリ美術館に行ったことがあります。そこは建築そのものがダリの作品になっていまして、ダリの変態性が炸裂した唯一無二の美術館となっています。

当時のぼくはアラサーで、社会の荒波にもまれ、なんとなく角が丸くなってしまった自分に葛藤する日々を過ごしていました。やんちゃであろうとする20代の青年が30代になるにつれてだんだんと社会に折り合いをつけることを覚えて生きてきたものの、ふと我に返り、それでお前は本当に楽しいのか?と自問するあれですね。今時の言葉でいうと厨二病って言うんですかね。自己愛から発露する空想的な思想とでも申しましょうか。

そんな時に訪れたダリ美術館で、後頭部をガツンとハンマーでぶっ叩かれたようなショックを受けたのを覚えています。こんなにも自由でやりたい放題でものづくりをし続けた先人がいたのか!とあまりの衝撃に膝の下ががくがくしたのを昨日のように思い出します。
シュールレアリスムというくくりでダリの作品を捉えてみたりとか、個々の作品に対してのテーマを探ってみたりといった鑑賞の仕方ではなく、一人の人間が自分のやりたい放題やりきったというその営みに感動し心が震えたのです。

そんなダリの多くの作品が、ここ東京に集められた展覧会が開かれています。
ぼくはアラサーからアラフォーになりました。この節目の時期にまたダリの作品群を浴びることで、背筋の伸びる思いを感じています。