一昨日の東京都庁について書きましたので、もう一つ丹下健三つながりです。

東銀座にある旧電通ビルです。コンクリートの柱梁の造形がなんとも力強く特徴的です。
丹下健三は、この一帯のエリアに複数の超高層ビルを建て、それらを空中回廊でつなぐという壮大な構想を抱いていたそうです。結局のところこの一棟だけにとどまったそうですが、モーレツに勢いのあった時代の空気を象徴するビルであることは間違いありません。

そんな本建築も老朽化が進み大震災の際にもひび割れしたりで、もうオフィスとしての役目を終えて今は無人のビルになっています。あとは取り壊しを待つのみという状態でひっそりというには堂々としすぎてはいるのですが、そこに佇んでいるのです。

ものづくり、特にデザインの仕事というくくりで見ると、プロダクトにしろ、広告にしろ、どんどん新しいものが生まれ、最新のものがすぐに過去のものになっていきます。いわゆるデザインの賞味期限が非常に短いです。その点、建築というものは一度作ってしまうと後世まで残るとても息の長いものというイメージがあります。例えば最も進化のスピードが早いであろうWebサイトやアプリ制作なんて仕事と比べると、建築の存在そのものは永遠とすら感じるかもしれません。

でも、この旧電通ビルを目の前に、建築と言えどもやっぱり寿命があり朽ち果てていくものなのだなぁと気づかされます。
諸行無常なこの世界のルールをまざまざと思い知らされたようで、とても切ない気持ちになりました。