ぽかーんと、夏休み。別邸・仙寿庵にて。
ぽかーんと、夏休み。別邸・仙寿庵にて。
ぽかーんと、夏休み。別邸・仙寿庵にて。

夏休みです。群馬県は谷川温泉の「別邸・仙寿庵」に来ています。

真夏に温泉?と思われる方もいるかもしれませんが、谷川岳の麓のこのあたりは高原ということもあり、日差しは強い ものの湿気は少なく日陰はひんやりしてとても涼しく快適です。

この仙寿庵、玄関入ってすぐのロビーから見える庭の眺望は圧巻です。芝生のスロープが手前から緩やかに高くなっていき、小高い丘のように続いていきます。そのスロープから丘の頂上にかけてさまざまな草木や岩がバランス良く配置されます。
そしてその小高い丘の向こうには雄大な谷川岳の峰々が連なります。手前から芝生の淡いグリーン、草木のグリーンのアクセント、背景にそびえる谷川岳のさらに濃いグリーン、夏の抜けるような青い空と白い雲。
谷川岳や空をも借景としたそのグラデーションとコントラストには度肝を抜かれ、ぽかーんとなります。

そう、ぽかーん。
最高の贅沢な時間がここにはあるのです。

その庭に面したロビーから客室へかけての廊下は、全面が巨大なガラス張りになっていて、廊下からもその庭を一望できます。ここでも、ぽかーんとしながら歩くことになります。庭のまわりを弧を描くように設営されたこのガラス張りの廊下は、建築的にもかなりユニークでシンボリックなものです。モダン建築という人工物と庭や借景といった自然との対比と調和がとても印象的な設計になっています。われわれ現代人が忘れがちではあるけれど、日本人に生まれたからにはDNAとしてもっている自然と共生するという精神性を呼び覚まされるようで心動かされます。

そして仙寿庵の客室には、全室かけ流しの露天風呂があります。
宿泊客共有の大浴場もありまして、そちらも良いのですが、やっぱりプライベートな部屋風呂でぽかーんとなるのが最高です。部屋風呂は、先ほどの庭とはほぼ逆を向いていて、別の庭に面しています。このプライベートな小さな庭は、大庭園とは対照的で、非常に詫びた佇まいです。地面に生えている苔がとてもいい感じです。その庭の向こうは谷になっていて小川が流れています。その先には鬱蒼と茂る森が見えます。露天風呂から立ちのぼる湯気がその自然の景色を一層幽玄なものとしています。そして小川の流れる音、鳥の鳴き声、蝉の鳴き声、蛙の鳴き声など自然のBGMに囲まれながら、ぽかーん。

こんな極楽が他にありましょうか?