娘の夏休みということもあり、家族でシン・ゴジラを観に行きました。

人間が神(≒自然)に立ち向かう物語というのは、遠い昔からよくある物語の構造ですが、そこに現代社会を重ねることで今の時代を生きるぼくらにとっても切実な物語に仕立てているのが、この「シン・ゴジラ」です。

本作は、ゴジラを原発メルトダウンのメタファーとして物語を描いていきます。震災が起こった時の人々の様子、津波で街が壊滅する光景、原発事故をめぐる国家と報道の在り方、事故に立ち向かう人々の姿、等々……
かなりわかりやすくというか、忠実にそれらを表現するものですから、NHKスペシャルの震災の再現ドラマを観ているような気分にもなります。

もっと言うと、震災の再現ドラマを映画化しようというのが、本作のチャレンジであったのでないかとすら思ってしまいました。

人々に後世に伝えるべき大切な物語(震災のドラマ)を届けるということがミッションであり、それをより多くの人々に届くカタチで表現するという意味において、この「シン・ゴジラ」という映画作品は狙い通りの成果を収めていると言えるのではないでしょうか。

リアルなVFXはもちろんすごいのでしょうが見どころは他にもいろいろとあります。オールスターキャストでありながら、登場人物それぞれがキャラ立ちしているのは役者の力量もさることながら脚本や演出が秀逸だからでしょう。画作りもアニメ的といいましょうか、まぁ庵野秀明なのでエヴァ的ということなんでしょうけど、これは!と唸らせるカット割りも多々あり、物語の世界観にぐいぐい惹きこまれていきます。
そしてなにより小学一年生も40歳のおじさんも楽しめる娯楽として成立してるっていうのがすごいなぁと思うんでよね。怖くもあるし、楽しくもある。深くもあるし、娯楽でもある。そんな相反する表現のバランス感がすばらしいと思うのです。