朝の連ドラ「とと姉ちゃん」の再放送を何気なく見ていると、次女が嫁ぐシーンが出てきました。結婚式の前日に一家そろって最後の晩餐とばかりに、次女の好物を食卓に並べています。そして食事が一通り済んだあとに、その次女が家族一人ひとりに感謝の意を述べていきます。

ここで、一緒にテレビを見ていた妻に「こういうのあった?」と聞くと、「うん、あった。わたしは手紙を両親にわたした」とのことでした。
ぼくはどうだったかな?と思い出してみようとするもののすぐには思い出せない。独身最後の夜に何食ったっけ?両親にかしこまって挨拶なんて絶対してないよなぁ……と考えつつ、あっと答えが見つかった。

会社で徹夜の作業して、実家で速攻着替えて、そのまま式場に向かったんだった。しかも既に遅刻してて、両親は既に家におらず挨拶すらしてません。
古き、良き時代だったよなぁ……しみじみ。
社会が大らかでした。今この時代に、従業員に徹夜で作業とか会社がさせてたら、すぐに訴えられちゃいますもの。

それにしてもですが、娘が嫁にいく父親の心境というものが日に日にリアルになっていきます。
当然のことながら、ぼくに娘ができる前にはそんな気持ちはこれっぽっちもわかりませんでした。他人の(自分の)結婚式で涙を流すお嫁さんの父親の姿を見て、さぞ大事に育てたんだろうなぁというくらいの感想でした。

娘が二人、小学生になった今は、その涙がもうちょっと複雑なものであることを知りました。決してポジティブな成分だけでできているものではないのです。哀しみの成分だったり、悔しさの成分だったり、怒りの成分だったりもちょっとずつは含まれているのです。

――なぜ、お婿の父は涙を流さずに、お嫁の父は涙を流すのか?

だんだんその訳がわかってきました。
お義父さん、ごめんなさい。