リオデジャネイロ五輪柔道男子73キロ級で金メダルを獲得した大野将平がインタビューで、

「柔道の強さ、美しさを伝えられたと思う」

ということを答えていました。「強さ」はまぁ世界一なのだから当然として、「美しさ」という言葉に心を動かされました。

多彩な技による華麗な一本は、確かに惚れ惚れするほどに美しかったです。準決勝の巴投げなんかは、まさに芸術的です。
でもそれだけでなく、なんといってもぼくが感銘をうけたのは、彼の柔道家としての美意識が素晴らしいと思うのです。
優勝を決めた瞬間も喜びを爆発させるでなく、きちんと礼で終わることを怠りませんでした。
相手あっての競技であり、敬うことは忘れてはいけないということも言っていたと思います。

柔の道と書いて柔道。柔術といった「術」ではなく、「道」なんですよね。

柔道と言うものは、大きな、普遍的な道である。 そしてそれを応用する事柄の種類によって色々の部門に分かれ、武術ともなり、体育ともなり、智育徳育ともなり、実生活の方法ともなるのである。

と言ったのは、柔道の父、嘉納 治五郎です。

我々日本人が本来もっているはずの美意識をもって柔道という「道」を体現し、それを世界にアピールしている若者がいるというのはなんと誇らしいことでしょうか。
と同時に、自分が彼と同じ二十四歳の時にどんな感じであったのか?いやむしろ、四十過ぎた中年である今の自分すらどれだけ礼節を重んじているだろうか?どんな美意識をもって、どんな道を歩んでいるだろうか?
を考えると、恥ずかしい思いしかしないですね……

でも、こういう恥ずかしい思いをして、人って成長するものじゃないですか!? いくつになっても人って成長できるってだれかも言ってたし。
そんなきっかけをくれた稀代の柔道家に感謝です。ありがとう! 大野将平! (敬礼!)