ここは日本橋のマンダリンオリエンタル38F、男子トイレです。

マンダリンオリエンタル38Fのトイレ

 

前面がガラス張りの小便器の向こうには、スカイツリーがそびえ立ちます。ここで用を足す人は皆、己の一物とスカイツリーの対比から、「本来無一物(ほんらいむいちもつ)」という禅語の精神が心に宿ります。

師曰く

人間は本来、何も持たずに裸で生まれてきたのです。何者でもないのです。今お前がどんなに成功しようが、どんなに尊敬されようと、そんなことは何でもないことです。この広い世界において、長い歴史において、お前なんか塵みたいな存在です。いや、むしろ存在すらしていないのです。「無」なのです。調子になりなさんな。ボケ。

そんな謙虚な気持ちを否応なしに、有無を言わさずに、呼び覚ましていただいて、ありがとうございますとしか言いようがありません。でも、成功も尊敬もされる前からこんな境地にさせられるっていうのはどうよ?とは思うんですけどね。