お気に入りの小野哲平氏作の飯椀をうっかり割ってしまいました……無念。気を取り直して金継ぎしてみようかなと決意しました。
この素朴で無骨な飯椀が金継して生まれ変わったら、それはそれでファンキーじゃないですか?

金継ぎとは割れたり、かけたり、ヒビの入ってしまった陶磁器を漆で接着し、接着部分を金で装飾して仕上げる日本古来の修復技術のことです。

金継ぎを見るたびに私が思うことが二つあります。

一つ目は、修理の跡を、隠すのでなく、あえて目立つようにすることで価値を見出すという逆転の発想。
失敗をものともせずに、逆にそれを利用してしまうというしたたかさ。相手の力を利用して逆に遠くに投げ飛ばす合気道的な精神を感じます。

二つ目は、金継ぎしてでも大事に手元に置いておきたい大事なものなんだということ。
普通、割れてしまった茶碗なんかは捨ててしまいますよね?ところがこの茶碗は割れてしまっても捨てるのが惜しいほどの大事な茶碗なんですねと思うわけです。

この金継ぎが示唆するところのことを、例えば人に置き換えるとどうでしょうか?

失敗しても、それをばねに頑張れる人。
たとえ傷物になったとしても、そばにいて欲しいと思われる人。

そんな、金継ぎされる人に私はなりたいと思うのです。